トイレのおはなし
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下水処理場に最も多く流入する有機物

もともと、下水道は都市部でのし尿処理を衛生的かつ効率的に行うために普及したことからもわかるように、トイレからのし尿は、一般家庭から下水処理場に流入する有機物としては最も多い有機物です。下水道が普及しているとはいっても、有機物の流入量はできるだけ少ないほうが望ましいことには変わりありません。しかし、トイレの水洗化が常識とされている現代にあっては、し尿の下水道排出はやむを得ないこととされ、水洗トイレの設置を義務付けている地域も多いくらいです。

合成洗剤問題との関係

し尿などの一般有機物と同時に家庭排水としてとくに多くの量が排出されるものとして、合成洗剤や柔軟仕上げ剤などがあります。これらの成分は、下水処理場での処理に直接関わる微生物の働きを、それらの毒性作用によって阻害します。そのため、処理が追いつかず、処理排水に有機物が多く残ったままで河川などに排出され、深刻な水質汚濁を招いているのです。

江戸時代の循環型社会に学ぶ

江戸時代の江戸(現在の東京)は、人口100万にも及ぶ、当時では、世界有数の巨大都市でした。今から考えれば信じられないかもしれませんが、同じ頃のパリ(フランス)は、町中に生ごみやうんちが放置されていたといわれるほど衛生状態が悪い状態で、感染症も多く発生していたといいます。一方、江戸のまちでは、各戸に汲み取り便所があり、肥料屋が定期的に汲み取りに来ていて、高値で取引されていたといいます。さらに、日本の伝統的な食生活(日本式素食)は、穀物(玄米・雑穀)や発酵食品、野菜のような植物性食品を中心とし、魚を少しだけ食べるといった食生活であったこともあり、町人たちの腸内環境は良好で、善玉菌の多い良質な町人たちのうんちが肥料として利用されていたと考えられます。そのため、江戸のまちは、下水道によらなくても衛生が維持され、当時としては、感染症は少なかったといわれています。

いまや「潔癖先進国」の日本

奇しくも日本は「トイレ先進国」といわれることもあるほど、水洗トイレが独自の発達を遂げた国といわれています。その象徴的な例が、「温水洗浄便座」です。一度温水洗浄便座の生活に慣れると、海外旅行に行ったときに困るといった笑い話を聞くほどです。しかし、水洗トイレが普及しすぎたことで、うんちというものを過度にタブー視したり、現実から目をそらしたり、食生活に無頓着になったということが問題視されています。最近では、トイレ掃除を「不衛生だ」という理由から、あえて子どもにさせない小学校などもあるほどです。トイレで化学物質過敏症の原因となる消臭剤(トイレボール)を使ったり、ダイオキシン類の発生原因となる殺菌剤を含む薬用石けんを使うなど、過度に清潔を求めようとする姿勢は、かえって不衛生を招く原因になるといった矛盾も招いています。

子どものうんちは善玉菌のかたまり

今日の平均的な食生活をしている人の場合、腸内細菌全体に占める善玉菌の割合は、乳児期にはほぼ全量に近い量、小学校児童くらいの子どもは善玉菌が圧倒的優勢で悪玉菌はごく微量といわれており、成人になるまでこの状態がほぼ維持されるといいます。20歳を過ぎた頃から善玉菌の割合が顕著に低下しはじめ、60歳を過ぎると、善玉菌の割合は1%程度まで低下するともいわれています。細菌は常に他種との生存競争を繰り広げており、優勢な細菌種が実効支配的に働くとされています。たとえ悪玉菌が存在していたとしても、善玉菌の勢力が圧倒的であれば、悪玉菌はないに等しいといってよいほど働きません。乳児期のうんちの細菌はほぼすべて善玉菌ですが、色やにおい、ねばりけが変わるなど、安定しないことがあります。これは、菌全体の勢いが弱く、免疫が発達していないなどの理由が考えられます。小学校児童くらいになると、学校給食の献立でもわかるように、大人とあまり変わらない食事ができるようになります。善玉菌の割合は乳児期と比べて少し減るとはいっても、その働きはきわめて活発で、悪玉菌の働きを封じ込めているので、子どものうんちは、とてもさわやかなにおいがして、いやなにおいがほとんどありません。ですから、出たての新鮮な子どものうんちは、細菌学的にはとてもきれいなものなのです。ぜひ一度、学校給食やおうちで野菜をいっぱい食べた子どものうんちのにおいをかいでみてください。とてもさわやかなにおいがするはずです。

※但し、善玉菌の割合は、食生活などの要因によって個人差があり、日本式素食のような食生活の人は、大人でも善玉菌が多く、逆に偏食(肉食)が多い子どもやジャンクフードを食べる割合が多い子どもの場合は、悪玉菌が多く、においがきついうんちを出す子もいます。

コンポストトイレは最良の環境教育・食育の教材

前に説明しました水洗トイレは、「水に流す」というように、環境教育や食育に関する大切なことまで水に流してしまいます。そのような中で、山小屋などで使われはじめているコンポストトイレが、最近注目されています。これは、うんちなどを落とすところに、細菌を植えつけたおがくずや米ぬかを詰め、その細菌やうんちの持つ善玉菌の働きを活かしてうんちを直ちに発酵分解するトイレで、以前よく使われていた、いわゆる「ぼっとん便所」とは全く異なるものです。「ぼっとん便所」がうんちを腐敗させ、害虫発生や感染症発生の原因にもなっていたのに対して、コンポストトイレは、善玉菌を優勢にした状態で、うんちを腐敗させることなく発酵分解させるので、とても衛生的なのです。うんちは、出した後の扱い方が大切で、いわば「生きもの」です。すぐに善玉菌の働きを活かして発酵分解させることが大切なのです。実際に、水道が十分に届かない山小屋などではよく使われており、衛生上の問題もなく、良好な状態に保たれているといいます。 原理的には、コンポストトイレ(男女共用)は、わずかな予算で、簡単につくることもできます。(実証実験予定)座面が木製のいすの後ろ側(おしりがつく側)を切り取り、便座(台座つき)にします。バケツ(うんちポット)に適度の湿り気を持たせた米ぬかとパン酵母、納豆(消費期限切れの古いもので十分)を入れてよくかき混ぜ、便座の下に設置すれば完成です。菌を元気にするために、まず最初に、子どもに善玉菌たっぷりのうんちをしてもらうとよいでしょう。うんちをした後は、スコップでうんちを混ぜ込むように、うんちポットのぬかをよくかき混ぜます。使わないときは、虫の誘引を避けるため、ふたを閉めておきます。うまくいけば、とてもうんちでできたとは思えないほど、ほっとするさわやかなにおいのする堆肥ができることでしょう。 とくに子どもは、本能的にうんちに興味を持っているといいます。そのような子どもにコンポストトイレを使わせて、どのような食べ物を食べれば気持ちよくうんちができるかを気付かせることができますし、うんちに対する見方も前向きになるでしょう。菌と正しくつきあうという、正しい衛生観や、物質循環の大切さも伝えることができます。大人にも同様の気付きを与え、食生活の改善や環境意識の啓発に役立つでしょう。当然、水も使わず、下水道にもつながっていませんから、下水処理の負荷を軽減することにもなるのです。
このようなコンポストトイレは、子どもにとっても、大人にとっても、最良の環境教育や食育の教材になることでしょう。

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