石けんについて
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石けんの化学的定義

石けんというと、「固形のもの?」であるとか、「身体を洗うもの?」と聞かれる方や、そのようなものという先入観で話される方がいらっしゃいますが、そういうことではありません。「石けん」の定義は、形状や用途は一切関係ないことをまずご理解ください。

化学上、石けんとは、広義には「高級脂肪酸の塩」と定義されます。うち、水に溶かして洗浄に用いられるものが、ここでいう狭義の「石けん」ということになります。(ナトリウムやカリウム以外の高級脂肪酸塩は水に溶けませんが、このようなものは、「金属石けん」と呼びます。)

石けんと合成洗剤との化学的性質の違い

石けんと合成洗剤とはよく似ているように見えますが、化学的性質は一線を画するものです。その最も特徴的な違いは2つあります。

石けんと合成洗剤との化学的性質の違い 〜1.アルカリ性でのみ存在できる〜

石けんの合成洗剤との化学的性質の決定的な違いのひとつに、石けんはアルカリ性でのみ存在できるということです。

水を入れた透明の容器を2個用意し、一方には合成洗剤を、もう一方には石けんを溶かします。赤色リトマス試験紙をつけると、石けんのほうはアルカリ性を示す青色に変化し、合成洗剤のほうは青色に変化するか、何も変化しません。そこに、どこの家庭にもある食酢を加えます。すると、合成洗剤のほうは何も変化しませんが、石けんのほうは、泡があっという間に消えると同時に水が白濁し、しばらく置くと油状のものが浮いてきます。両方に食酢を加えた後に、今度は青色リトマス試験紙をつけると、どちらも酸性を示す赤色に変化します。石けんを水に溶かしたときはアルカリ性ですが、食酢を加えることで中性から酸性に傾いてきます。この変化は、石けんが食酢の酸の作用で、水に溶けない油状の高級脂肪酸に分解されたことを意味するとともに、石けんがアルカリ性でしか存在できないことを意味しています。あわせて、合成洗剤は酸の影響をほとんど受けないことがわかります。

さらに、石けんは、酸を加えたりしなくても、すすぎ水などで薄まり、中性に近づいていくだけでも分解が始まっていきます。 RCOO- + H2O → RCOOH + OH-

(Rは炭化水素基)

※合成界面活性剤を含む複合石けんの場合は、石けんの分解に伴う白濁が生じながら、合成界面活性剤による泡立ちが残ります。

石けんと合成洗剤との化学的性質の違い 〜2.金属イオンの作用で不溶化〜

石けんの合成洗剤との化学的性質のもうひとつの決定的な違いは、石けんはナトリウム、カリウム以外の金属イオンの作用で不溶化するということです。

2 RCOO- + M2+ → (RCOO)2M 

(Rは炭化水素基、Mは2価の金属イオン(Mg,Caなど))

前の実験と同じように、一方に合成洗剤を、もう一方に石けんを溶かした水の入った透明容器を用意します。そこに、にがりを加えます。 すると、石けんのほうだけに顕著な変化が現れます。泡が消えると同時に、白い固形状のものが発生してきます。この白い固形状のものは、水に溶けない金属石けん(マグネシウム石けん)で、石けんがにがりの金属(マグネシウム)イオンと反応してできたものです。合成洗剤のほうは、ほとんど変化せず、泡が立ち続けます。

化学的性質の違いが意味するもの

合成洗剤も石けんも、水溶液が泡立つという現象は、界面活性作用という作用があることを示しています。このような、水に溶かしたときに界面活性作用を示す物質のことを界面活性剤といい、合成洗剤の主成分をなす、化学合成によってつくられる界面活性剤を合成界面活性剤と呼びます。石けんも界面活性剤の一群に属します。界面活性作用とは、界面活性剤が水に溶けることで、水の表面張力を低下させることによって生じる現象であり、界面活性作用に関連する作用として、表面を濡れやすくし、浸透しやすくするする作用、汚れなどを分散させる作用、汚れなどを再度表面に付着するのを防ぐ作用、水に溶けない物質(油分)を乳化ないしは可溶化させる作用などがあります。これらの作用が複合的に起こることによって、界面活性剤は洗浄効果を示すのですが、その作用は、あらゆる生物に対する毒性作用にも関係します。

石けんや合成洗剤を洗浄に用いるかぎり、洗うときは界面活性作用を維持する必要がありますが、合成界面活性剤のように、界面活性作用が残った状態で、そのまま水環境中に排出された場合、その界面活性作用によって、自然界のあらゆる生物の細胞膜を傷つけたりします。ごく低濃度であっても、魚類などは嫌悪な刺激として忌避する行動傾向を示すことが知られており、生物多様性にも悪影響を与える懸念があります。同様に、下水処理場の活性汚泥を構成する微生物にも毒性を示すおそれがあるため、合成界面活性剤そのものが生分解されないだけではなく、容易に生分解されるはずの下水中の有機物(し尿・食品由来物質等)の生分解まで、その毒性作用によって阻害されるため、下水処理排水による水質汚濁の原因となります。しかし、石けんの場合は、すすぎの際に中性に近づいたり、水道水中の金属イオンと反応したりすることで界面活性作用を失いますので、合成洗剤のような毒性作用を示す心配は一切なく、下水処理場や環境中では、一般的な有機物と同じように生分解されます。

洗濯や食器洗いの際、排水口にご注目ください。そのとき、合成洗剤の場合は、泡が消えることなくそのまま流れ出ていきますが、それは、毒性を保ったまま下水処理場などに流れ込んでいることになるのです。一方、石けんの場合は、すすぎの際に勢いよく泡が消えていくことを確認することができますが、それは、界面活性作用を失った状態、すなわち、毒性作用のない一般的な有機物粒子の状態で下水処理場に流れ込んでいくことを意味します。

石けんの化学的性質を踏まえた石けんの正しい使い方

前に説明したように、石けんは合成洗剤とは異なった化学的性質を示すため、当然、使用方法も異なります。正しく使えば、合成洗剤よりも優れた洗浄効果を発揮しますが、誤った使い方をすれば、洗浄効果を示さないことさえあります。次に示す基本的な使い方と考え方に従って、正しくご使用ください。

1. 予洗い(下洗い)推奨
予洗い(下洗い)は、石けん分の損失の原因となる水溶性の汚れ(酸性物質や汗などに含まれる金属イオン)を除去する意味があります。とくに、夏場のお洗濯の場合は、とくに重要な意味を持ちます。お洗濯の場合、本洗いと同じ水量の水で洗い、よく脱水します。食器洗いの場合は、水で洗い流すか、たらいやシンクの水に漬けておきます。
2. 標準使用量を守る(きちんとはかる)
標準使用量は、石けん製品の開発の際に、「一般的な使用方法で使用量対効果が最適となる使用量」として定められた使用量です。使用量が少なすぎると、石けん分の分解の割合が多くなり、十分な洗浄効果が期待できません。逆に、多すぎると、すすぎに時間がかかったり、すすぎ時に石けんかすが沈着しやすくなったりします。標準的な用途の場合、基本的には、標準使用量を守るようにしてください。
3. 泡立ちに注目(状況に応じて補充)
汚れの種類や量によって、石けん分の消費量が変わることがあります。そのため、とくに油汚れが多い場合は、標準使用量で使用していた場合でも、泡が消えて、洗浄力が不足することがあります。そのような場合には、泡の様子を見ながら、十分な泡立ちを回復するまで石けん分を補充してください。(通常の場合、少量添加するだけで回復します。)なお、酸性汚れなどで、洗浄液のpH降下の影響を受けているとみられる場合には、炭酸ナトリウムやふなあん特製アルカリパウダーといったアルカリ剤を加えることで泡立ちを回復することがありますので、思い当たる場合は、ぜひお試しください。

※標準使用量は、あくまで標準的な使用条件で最適となる使用量です。標準使用量以上の石けん分所要量が常に見込まれるような場合には、最初から、その洗浄対象物に対する石けん分所要量に相当する量(標準使用量より多い量)をお使いください。

4. 十分な力を加えて洗う(とくにお洗濯の場合)
洗剤は「汚れを落ちやすくする」ものですから、汚れを落とすための十分な力を加えることが、洗浄の前提となります。最近の洗濯機は、回転力が弱いものが多く、十分な洗浄ができない場合があります。洗濯機の回転力の弱さは、合成洗剤の洗浄力の不十分さとあわせて、洗濯したときの生乾き臭の原因のひとつでもあります。石けんは合成洗剤よりも洗浄力が優れていますが、きちんと洗うためには、十分な力を加えるようにしてください。機種によって異なりますが、水流設定のある洗濯機では、「強水流」で、本洗い時間15分程度に設定するのが無難です。(合成洗剤の場合、強水流にすると、酵素(セルラーゼなど)や繊維の摩擦で、傷むことがありますが、石けんの場合は、昔から洗濯板でごしごし洗いしていたことからもわかるように、その心配はありません。)
5. すすぎはすばやく石けん分を落とすつもりで要領よく
本洗いをした後は、食器洗いの場合は、水しぶきがかからないシンクの横に、泡がついた状態で一時保管しておき、まとめて流水ですすぎます。お洗濯の場合は、脱水で洗浄液をできるだけ除いた後に、十分な水量で2度、ためすすぎをします。(石けんの場合、たいていの場合、すすぎ1回で完全に泡が引きますが、石けんかすの粒子を確実に除去するために、2度すすぎをおすすめします。ちなみに、合成洗剤の「すすぎ1回」は、石けんの消泡促進作用を利用して、1回ですすぎができたかのように見せかけるだけのものであり、合成界面活性剤が1回で確実に除去されるわけではありません。)

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