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銀鮒の里プロジェクト

廃校活用開校プロジェクト【各自治体さま向け情報】

自治体・地域にとっての魅力

地域創生、一過性で終わることなく、持続的かつ内発的に潤いと活力を生み出し続けるにはどのようにすればよいのでしょうか。

それは、どのような自治体にとっても共通する課題です。

その最良の答えを出すうえで欠かせないキーワード、それは、「持続可能な発展のための教育(ESD)」です。

地域に潤いと活力を生み出し続ける、教育のまちづくりの魅力についてご説明いたします。

教育以外の地域創生のリスク 〜事例模倣やブームに乗った安易な地域創生は危険〜

今話題の地域創生ですが、多くの場合、長続きしないといわれています。それらは、物産加工や、教育的性格をあまり持たない観光など、商業的手法による地域創生です。

田舎のよい物といえば、誰しも、多少は関心をもち、PRにつられて、一時的には買ってみたり、ということはよくあるものです。しかし、たいていの場合は、スーパーなどで売られている大手メーカーなどの量産品と天秤にかけられ、価格が高い、購入しにくいなどの理由をつけられ、結局はあまり売れないということもよく起こります。それもそのはずで、いまの教育や生活様式では、本物を見抜く眼も鍛えられるはずもないわけで、そういう人を相手にするかぎり、真面目にやって馬鹿を見るといったような理不尽な結果をも招きかねないわけです。また、売り手の側も、こだわったつもりで作ってみても、結局は大手メーカーの量産品と大差ないものしか作っていなかった、ということもよくあるものです。いずれにしても、買い手(客)の側の価値観を、真面目な売り手に有利になるような形に仕向けていくことや、売り手もまた、持続可能な市民感覚に応える智や技術を身に付けるといった持続可能性戦略が必要となります。そのための唯一の方法こそが、持続可能な市民感覚をもたらす価値観への変容を実現する教育というわけです。

現在の子どもの2030年を考えてみる

2030年、それは、国連SDGs(持続可能な開発目標)の目標年です。その、今から12年後、ちょうど干支を一回りした年の2030年に、今の子どもたちはどうなっているかを想像してみてください。小学校2年生以上の子どもは成人になり、社会を動かしていく主役になっているのです。そのような将来のある子どもたちの伸びる芽を、地元の活力として力強く育て上げられるかも、都市部や他地域への人口流出を招くかも、地域の命運を分けるのは、これからの教育次第なのです。

人口流出を招く教育と定住を促進する教育、その違いとは

教育が人口動態を変えるというと、大げさに聞こえるかもしれません。しかし、子どもは誰しも考える以上に柔軟であり、教育のあり方次第で、将来の地域の運命を大きく変えるだけのポテンシャルを秘めているのです。

人口流出を招く教育とは、現代の都会生活のニーズに応えるような教育です。都市部の公立学校や保護者が注目しているようなこと、例えば、英語の早期教育であったり、名門中学・高校・大学進学を意識したお受験教育などがその典型です。英語教育がなぜこれほどまでに注目されているか、ご存知でしょうか。それは、グローバル企業などによる要請によるところが大きいといえます。今日の業界地図は、国際的な合併をくり返し、大規模集約・寡占型へと大きく移行しつつあります。その中には、外資企業に買収されるケースもあれば、外資企業を買収したりするケースもあります。そのようになっていくことで、業界は変化に欠いた画一的なものとなり、気がついてみれば、ある業界では、特定の財閥系のみが支配しているといった状況も想定されます。(現在でも、その予兆となるような社会現象は、いくつかの業界で起こっています。)そのようなことが起きれば、事実上の国際語である英語の教育が注目されるのは、当然のことといえます。しかし、その一方で、この半世紀ほどの間に、持続可能性の模範ともいえる日本の文化は、欧米文化圏の商業主義勢力により、持続可能性を損なうかたちで大きく塗り替えられてきたこともあり、英語教育をはじめとする現代ブームとなっているような教育は、必ずしも評価すべきとはいえないのです。言うまでもないことですが、受験を目的とした詰め込み教育は、学問のおもしろさを実感するようなゆとりも与えず、勉強嫌いの子どもを増やす原因にもなっています。

では、定住を促進するような教育とは、どのような教育でしょうか。それは、日本の風土に根ざし、日本の子どもたちとして、ほんとうに体験したい普遍的好奇心を率直に満たしていくことのくり返しに、人間的成長を見出すような教育です。国際社会に生きるうえで、その国に生きる私たちはどうあるべきかを考えるとき、まずは、母国や地元地域のあらゆる文化に関心を持ち、それらを発展的に継承するには、どのようなことが必要であるかを考えます。そのとき、日本人が代々大切にしてきたこころに根ざした智や技が重要であることに気づきます。日本の伝統的なくらしの知恵や、建物やものの伝統工法など、日本の多くのものやことに、それらを見出すことができます。そのようなことを発展的に継承し、日本の伝統と最先端の智や技術とがみごとに融合していくことにより、日本としての持続可能な発展の原動力となり、それを地域から発信することができれば、その地域の確かな活力へとつながっていくのです。そのようなこ教育を実現する銀鮒の里学校の昭和のくらしESDは、まさに、地域への定住を促進する教育といえるのです。

AI化社会と農村社会起業

都市部では、もうすでに、AI(人工知能)による業務合理化が現実のものとなっており、今後ますます増えると見込まれています。AI化には、いくつかの目的がありますが、人の労働力に代替することで、経営上のコストを削減することも重要な目的のひとつになっています。ですから、都市部への人口流入が止まらないままAI化が進むと、都市部では労働力が余ることによるさまざまな問題が起こることが想定されます。従来は、都会に移住して、大企業などで仕事をすることがステータスのようになっていた時代もありますが、このような時代は、もう終焉を迎えています。そこで、注目されるのが、農村社会起業です。農村での仕事は、AI化が困難であるとされ、AI化の波が及びにくいとされています。いいかえれば、柔軟性のある人の能力が、これからも不可欠になるというわけです。都会で仕事のニーズが減れば、当然、都会以外への場所、すなわち農村などの地方部に仕事の機会を求めるのは、当然想定されることです。現状では、農村部には産業の立地が少ないのが現状ですから、起業の動きも必要となります。その起業を行うのも、人の力、とくに、これからの若い人の力です。そのためには、農村社会起業を実現できるだけの素質を育成する機会が必要となります。銀鮒の里学校は、そのような、将来の農村社会起業家を育てる教育を行います。

昭和のくらしESDによる定住力育成のプロセス
質の高いあそびや知恵のあるくらしから哲学的ななにかを見出し、まなびへとつなげる小学部

小学部では、健全で質の高いあそびや、知恵のある暮らし方を通じて、哲学的な気付きを得るプロセスを重視します。四季の動的移ろいを五感で感じる、自然豊かな農村にある学校の校舎という、農村ならではの格好の環境で、都会ではできないようなことも含めたあそびをし、哲学的な気付きを得て、それを学習の動機付けとすることを繰り返して、多くの活きたまなびを実現していきます。

また、知恵のある暮らしの実践(家庭科のアクティブ・ラーニングに相当)を通じて、あらゆる学びから得てきたことの統合的応用で得られる成功体験を繰り返していくことで、知恵を実践に活かすことで得られる、真の豊かさについての気づきを得ます。また、そのようなことが、日本人が代々大切にしてきた家事の道徳観であることを認識します。このような、里山のオルタナティブ・スクールならではのカリキュラムにより、郷土を愛する礎を築いていきます。

小学部で習得した智をより深化させつつ、応用し表現する技能を身につける中学部

中学部の3年間では、小学部で習得した智をさらに深化させつつ、職業的な応用にもつなげていくことのできる高度な応用や表現の技能を身に付けます。学習指導要領の中学校に相当する内容の多くは、小学部で完了し、中学部では、応用にじっくり取り組みます。また、哲学的考察も、より高度になり、一部、高等学校以上で扱う内容についても学び、より深く、学問の真髄に触れていきます。卒業後は、農村社会起業や鮒庵(仮称;生産型CBで法人化の予定)への就職、銀鮒の里学校の教職員候補などへの道が拓かれます。いずれの場合も、銀鮒の里学校所在地域における産業・雇用の創出が見込まれます。