昭和のくらしESD手づくりアクティブ・ラーニング教材

昭和のくらしESD

手づくりアクティブ・ラーニング教材

教科との関連性

【小学校・中学校】全教科

ESD要素

多様
相互
有限
公平
連携
責任
建設
代替
整合
情緒
伝統
革新
普遍
拮抗

先頭の6要素は、環境省・文部科学省が例示する主要要素例、以下の8要素は、銀鮒の里学校が提唱する追加要素です。マークがない要素も、その要素が全くないというわけではありません。

ESD要素の詳細解析
ESD要素 特  徴
多様性 主体的な学習・研究活動を通じて、物事には多様な捉え方・考え方があることを認識します。
相互性 あらゆる物事には、相互関係があることを認識します。
連携性 あらゆる物事は、関わりあい・助けあいで成り立っていることを認識します。
責任性 社会や自然界において、主体的に責任を負うとはどういうことかを認識します。
建設性 何もないところから新たな知を主体的かつ積極的に構築することについて学びます。
代替性 常に現状を積極的に批判し、よりよい代替案を打ち出し、実践することでPDCAサイクルの形成を図ります。
整合性 主体的な学習・研究活動を通じて、何事もつじつまがあう論理を構築し、行動に反映することを習慣化します。
情緒性 論理構築のはじめの段階として、まずは人間として感性を研ぎ澄ませて感じ、それにより、多くの情報を主体的に構築します。
普遍性 異なる事象間でも、何らかの共通性があることを認識します。
拮抗性 現状の教育で問題となっている依存的・受動的な「インスタント」教育・「丸暗記・詰め込み」教育に対する対案概念を形成します。

概要

これまでの模造紙・画用紙などといったアナログ媒体に加えて、自ら撮影・取得した音声・写真・動画といったデジタル媒体も活用した、マルチメディアの手づくりアクティブ・ラーニング教材をつくるプログラムです。その半完成の骨格を銀鮒の里学校のメンバーが制作し、実際の教育の場(小学校・中学校など)で実践し、児童・生徒たちが、学習・研究活動を通じて主体的に考え導き出した道筋や結論をまとめて、模造紙やLibreOffice Impressプレゼンテーションや映像資料、ウェブページなどとして完成させます。

アクティブ・ラーニングは、主体的学習活動の総称を示す骨格概念ですから、銀鮒の里学校の他の教育プログラムを1つ以上盛り込み、手作りアクティブ・ラーニング教材プログラム化します。

関連のある(連携推奨)活動の例

銀鮒の里学校のほぼすべての教育プログラムが、その内容の対象となります。

対象

小学校の児童(1年生から6年生までの男女)、中学校の生徒(内容によっては、高校生以上にも対応)

1クラス人数の目安

2人以上

所要時間

30分~2時間程度

ご用意いただくもの

内容によって変わりますが、映像資料を取得する場合は、動画撮影が可能なデジタルスチルカメラを用います。デジタルスチルカメラは、フルオートではなく、できるだけきめ細やかなマニュアル設定が可で、光学ズームが充実した機種が適しています。子どもが使うことを考えて、コンパクトカメラサイズのものがあるとよいでしょう。

マルチメディア編集は、LinuxがインストールされたPCを用います。(Linuxの活用の詳細については、デモクラティック・コンピューティングをご参照ください。)

模造紙を使う場合は、何も書いていないか、主題だけを書いた模造紙を用意し、骨格のみについて説明をし、あとは児童・生徒にマーカーペンなどで記入してもらうようにします。できるだけ児童・生徒の考える力を引き出すのがポイントです。

プログラムの流れ

「季節の唱歌 こころの旅(赤とんぼ)」と題したプログラムの流れを例にして説明します。

  1. 音源と、その情景を想起させる映像資料を用意します。音源や映像資料には完成品もありますが、可能な限り、手作りをします。音源はハーモニカなどでの演奏、映像資料は、手作りの音源データをBGMとして挿入したり、里山などで独自に撮影した季節の映像を編集します。(写真を動画風にアレンジすることもできます。)
  2. 子どもたちに見聴きさせて、まずは感じさせます。
  3. 歌詞の意味や作詞・作曲の背景などについて簡単に説明します。また、深い考察を促すため、理科(地学分野)の昼の長さや、里山の季節の動植物などについての話題提供もします。
  4. 子どもたちに、その唱歌の背景にある、より深い物事について考察してもらいます。そして、現在の自然やくらしと照らして、感じたことや考えたことについてまとめてもらいます。
  5. 成果を発表し、みんなで共有(分かち合い)します。
  6. 共通点やおもしろい考え方を抽出し、みんなで総論をまとめます。

例えば、唱歌「赤とんぼ」は、赤とんぼの先入観からか、漠然と「秋の歌」と考えられがちです。(実際に、そのように記載をしている道徳教科書もあります。)しかし、「桑の実」といった、秋の季節とは矛盾する語句が歌詞に登場し、実際の里山で赤とんぼが最も活発に飛び回る時期が、ちょうど桑の実が実る初夏(6月頃)と重なるため、赤とんぼは、初夏の情景のうたなのだということが導き出されます。さらに、作詞者の三木露風は故郷の兵庫県たつの市ではなく、遠く離れた北海道函館市において、故郷の情景を思い出しながら作詞をしたともされており、初夏につくられたわけではないのでは(情景を回想しつつ、実際に作詞されたのが秋だから、秋の歌と思われるようになったのかもしれない)、という意見も出ることでしょう。ほかにも、いろいろな意見が出されることでしょう。