昭和のくらしESDにおいリテラシー教育

昭和のくらしESD

においリテラシー教育

前向き志向で親和的に暮らすために必要な、日本人が元来大切にしてきた嗅覚感覚をとりもどす教育プログラムです。

公教育教科との関連性

【小学校】理科、国語、保健体育

【中学校】理科、国語、保健体育

ESD要素

多様
相互
有限
公平
連携
責任
建設
代替
整合
情緒
伝統
革新
普遍
拮抗

先頭の6要素は、環境省・文部科学省が例示する主要要素例、以下の8要素は、銀鮒の里学校が提唱する追加要素です。マークがない要素も、その要素が全くないというわけではありません。

ESD要素の詳細解析
ESD要素 特  徴
多様性 自然のにおいには、いろいろなにおいがあり、それらには根拠があることを理解することができます。
連携性 あらゆるものとのかかわりにおいて、においはきわめて重要な意味を持つことを理解することができます。また、食育や衛生教育など、あらゆる生活習慣教育と密接な関連性があります。
建設性 他の感覚と連携して、あらゆるものやことを起こすことができることを理解できます。
代替性 親しむ対象を自然にあるにおいに置き換えることで、正しい嗅覚感覚をとりもどすことができます。
情緒性 嗅覚が情緒に与える影響について理解することができます。また、情緒を豊かにするにおいについて理解することができます。
普遍性 日本人が代々親しんできたにおいの普遍的感覚を呼び覚ますことができます。
拮抗性 近年、巷にあふれる合成香料製品を掴まされない、親しむべきにおいについてのゆるぎない市民的感覚を共有することができます。

概要

今日の教育において、嗅覚教育はほとんど行われていないのが現状です。その結果、巷には合成香料を強く効かせた合成洗剤や柔軟剤、除菌消臭スプレーなどの商品が溢れ、嗅覚のリテラシーが撹乱されている現状にあります。嗅覚的な感じ方は、価値観の持ち方次第で、正反対に変わることすらあります。基本的には、花や木のような植物由来のにおいや清潔な人のからだから出るにおい、発酵したにおいは、親しみを持ってきました。

関連のある(連携推奨)活動の例

昔あそび、木育・素材教育、食育、衛生教育、子どもバケツトイレ、石けん教育、自然体験など

対象

小学校の児童(1年生から6年生までの男女)、中学校の生徒(内容によっては、高校生以上にも対応)

1クラス人数の目安

2~15人

所要時間

30分~2時間程度

ご用意いただくもの

自然のにおいを発するものや避けるべきにおいのサンプルなどを用意しますが、内容によっては、不要な場合もあります。参加に際しては、半袖・半パンツ(ショートスカート)など、肌が露出しやすい服装で、体育館などの広く安全な室内で行うことが望ましいなど、服装や場所の要件がある場合があります。

プログラムの流れ

ここでは、人のにおいに親しむ「にぎにぎ、すりすり、ひとのにおい」プログラム(おもな対象:小学校児童)を例にして説明します。

1. 準備

直径1〜3cmくらいのつやありステンレス棒や先丸の給食スプーン(できるだけ大量)、杉間伐材の丸棒など、子どもたちがにぎって気持ちいいと感じるものをいろいろ用意します。

場所は、子どもたちが思いっきりはしゃげるように、障害物ができるだけ少ない学校体育館のような室内が適しています。

このプログラムは、子どもの人本来のにおいへの気づきと理解の共有を楽しむことを目的としていますので、予め子どもたちには、柔軟剤や芳香消臭剤などの使用は自粛するように周知しておくことが大切です。

2. 安全指導(時間の目安:5分~)

あそびに使うものに応じて、予め出しておいたヒヤリハット(危害予測情報)をもとに、十分な安全指導を行います。(例えば、硬い棒状のものを使う場合は、「絶対にたたいたり突いたりしない」などということをしっかり指導します。)なお、あそびは子どもたちの自主性に任せますが、安全のために、必ず大人の指導者が監督します。

3. あそんでみよう!(時間の目安:30分〜)

まずはじめに、子どもたちが考えるうえでの参考となるよう、あそび方の例を示します。

いろいろな手あそびや棒引き(つなひきのつなをステンレスや木の棒に替えたあそび)、スプーンあてあそび、かたぐるま、おしくらまんじゅうやむかであそび(二人三脚の要領で、となりの人と足をつないであそぶ)など、ほかの人同士の肌がこすれたり、人のにおいやぬくもりであそべるようなあそびをして楽しみます。

4. ふりかえり(時間の目安:10分~)

にぎにぎした棒やスプーン、みんなの肌のにおいを確かめることで、みんなの元気なにおいに親しみ、認識を共有します。

4. まとめ(時間の目安:5分~)

子どもの人のにおいを正しく知り、お互いに受け入れあうことは、みんななかよく、積極的な気持ちになるうえでとても大切なことであるということをみんなで確認して、ほんわかした気持ちで締めます。

発展

タッチセンサーなどの、条件に応じて動作する電子回路を組み合わせるなど、科学あそびと合わせた楽しみ方もできます。