「みんなのお口からおしりのあなまでのくだは、おしりのあなの先で、大地でつながっているんだよ。」
そういうことを教えてくれる、うんちやおしっこを大地にかえすトイレだよ。
うんちのみかたが変わる、ふしぎなバケツ
こどもバケツトイレは、15リットル以上の大きさのバケツに米ぬかを入れ、洋式の便座(べんざ)をのせただけの、水も電気も使わないパーマカルチャートイレだよ。もちろん、水でながさないトイレだから、前の人ががんばったうんちが丸みえだよ。「ほんとうにこんなトイレ、使えるの」と思った人もいるかもしれないけれど、とてもせいけつに使えるトイレなんだよ。なぜかは、これからせつめいしていくよ。
パーマカルチャーって、なんだろう?
大地にかえすべきものは大地にかえし、いつまでも自然となかよくしながら農業をしよう、という考え方をパーマカルチャーというんだよ。むかしの日本の農業では、人のうんちを大地にかえすということはふつうに行われていて、パーマカルチャーの考え方に合うものだったんだよ。地球環境問題がさけばれているいま、パーマカルチャーの考え方が世界中で見直されているんだよ。
うんちって、なにでできているの?
うんちは食べたらでてくるよね。だから、うんちは食べたものでからだで使われなかった「食べかす」が多いと思っているひとも多いんじゃないかな。でも、それはまちがい。食べて消化されなかった食物せんいは、うんち全体のたった数パーセントくらいにすぎないんだよ。(多く見えるのは、食物せんいが水分でふくれて大きく見えるだけなんだよ。)もっとも多い成分は水分で、うんち全体の3分の2くらいをしめているんだよ。では、あと残りの20〜30パーセントくらいはなにがしめているかというと、それは、なんと菌(きん)なんだよ。腸の古い細胞(さいぼう)や粘膜(ねんまく)(いわゆる「あか」だね。)も少しふくまれるよ。(「腸のあか」とはいっても、腸の細胞は毎日のように入れかわっているから、とってもきれいなものなんだよ。)では、そのたくさんの菌がどのようなものか、きになるよね。小学生の子どものうんちにふくまれる菌の内わけは、下の表のようになっているよ。
小学生のうんちにふくまれている菌の割合
菌の種べつ | はたらき | 腸内細菌の例 | うんち中の菌に しめる割合 |
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よい菌(善玉菌) | 悪い菌が苦手な酸(にゅう酸や酢酸(さくさん)など)を出して、悪い菌を追い出してくれたり、人間のからだでつくれない栄養をつくってくれたりするよ。 |
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約20〜50%くらい |
中立の菌(日和見菌) | よい菌のいきおいが強いときはよい菌としてふるまい、悪い菌のいきおいが強いときは悪い菌としてふるまうよ。最近では、よい菌としてのはたらきも知られてきているよ。まるでワクチンのように、病原体に負けない、強い体質にしてくれるよ。 |
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約50〜80%くらい |
悪い菌(悪玉菌) | 硫化水素やインドールのようなくさい物質をだして、悪いはたらきをするよ |
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ほとんどいない |
ちなみに、うんちの中に多いと思われがちな大腸菌は、じっさいの日本人の小学生のうんちの中にはほとんどいないこともわかっているよ。
上の表から、小学生のうんちには、悪い菌はほとんどなく、善玉菌のいきおいが非常に強い(中立の菌も善玉菌としてはたらく)、とってもきれいなものだということがわかるね。
では、なぜ、人はうんちをするのかな。
うんちは菌でびっしりの「まんいん電車」じょうたいなので、そのままだと、大腸の中の菌がいきぐるしくなってつかれてしまうね。胃でどろどろになった、食べた食べものもつぎつぎと腸に送られてくるので、うんちとしてだしてあげないと、腸がつまってたいへんなことになっちゃうよ。うんちの菌は大腸でものすごい速さでふえるけれど、目にはみえない菌にもかさがあって、大腸の中にいることができる菌の数にはかぎりがあるんだよ。うんち1グラムに含まれている菌の数は、なんと1兆個ともいわれているよ。
もうわかったよね。うんちは、大腸のなかでふえた元気な菌があふれ出たものなんだよ。うんちのあのねっとりしたのは、菌のあつまりだったんだよ。大腸でふえた菌をうんちとして出してあげることで、菌の数が少なくなったうえに、送られてきた食べものでうすめられて、ふたたび菌が元気にふえることができるようになるんだよ。だから、毎日でっかいうんちを出すことは、とってもたいせつなことなんだよ。毎日出る子どものうんちはくさくないし、とってもきれいなものだから、はずかしがったりせずに、きもちよく出して、友達とも自まんしあおう。
うんちの色のひみつ
うんちのいろは、かんぞうでつくられる、たんじゅうという黄色い液のいろがもとになっているんだよ。菌そのものは白っぽい色だけど、それにたんじゅうのいろがついて、黄土色から茶色っぽい色になっているんだ。出たばかりのうんちは明るい色をしているけれど、空気にふれて時間がたつと、酸化されて暗い色になっていくんだよ。また、肉を多く食べたつぎの日には、肉の鉄分のえいきょうで、はじめから暗い色のうんちがでることがあるよ。
ヨーグルトのひみつ
プロバイオティクス・ヨーグルトというのがあるよね。このようなヨーグルトは、人の子どものうんちのなかにいるある種の菌だけをとりだし、ふやしたものをつかってつくられているのを知っていたかな。よい菌がものすごく多いイメージがあるけれど、同じ量あたりの菌の数は、子どものうんちの数万分の1以下くらいの数しかいないんだよ。しかも、みんなのおなかのなかでは、毎日ものすごいいきおいでふえているビフィズス菌などの善玉菌は、空気中の酸素にとても弱い性質があるため、人の大腸の外で人工的にふやすのはとても難しいんだよ。
こどもバケツトイレの発こうのしくみ
元気な子どものうんちは、菌のかたまりのようなものだから、そのままだと、よい菌はおとろえてしまい、くさってしまうことさえあるんだよ。そこで、菌をうすめて、菌が活動しやすいようにすることが必要になるんだ。そのはたらきをするのが米ぬかだよ。さらに米ぬかには、菌がふえるのに役立つ栄養がたっぷりふくまれているよ。米ぬかには、酸素を好むこう母やなっとう菌のなかまもついていているから、酸素を好む菌が酸素をうばうことで、酸素が苦手な菌も活動しやすいじょうたいにしてくれるよ。(このように、相反する性質のよい菌がおたがいに助け合うような発こうを、共生発こうというよ。)うんちや米ぬかの乳酸菌やこう母のはたらきで共生発こうするときは、くさいどころか、よいかおりがするようにもなるよ。もちろん、悪玉菌はふうじこめられているから、とてもせいけつなんだよ。米ぬかとこねて十分に発こうしたうんちは、たい肥として使うことができるよ。うんちがたまったら、米ぬかとこねて、別の場所で発こうさせ、新しい米ぬかをいれてはうんちをして…のくりかえしで、続けてつかうことができるよ。
こどもバケツトイレのつかいかた
こどもバケツトイレは男女共用だよ。おてんばっ子もわんぱくっ子も、みんなでなかよくうんちをしよう。
おしりをふいた紙や布、使い終わったナプキンは、バケツトイレのなかにすてないで、えい生ばこ(サニタリーボックス)のなかにすてよう。
たまったうんちは、どうなるの?
子どもたちの元気なうんちは、毎日、おとなのボランティアの人が、バケツの下にある米ぬかとまぜて手ごねして、たい肥をつくるよ。子どもの元気なうんちでつくるたい肥は、大地にかえり、花や木、野菜などを育てるよ。下水道にはい水をすてないで、うんちで植物を育てるから、環境にやさしいトイレなんだよ
さいがいにも強いバケツトイレ
地しんや風水害などの大さいがいがあると、水でながすトイレが使えなくなり、問題になることがよくあったけれど、水でながさないバケツトイレがあれば、水がなくてもせいけつに使えるから、さいがいの時にも役に立つんだよ。
まごわやさしいうんちを観察してみよう!
あいなちゃんがバケツトイレでがんばった、まごわやさしいうんちを観察してみましょう。
とても元気でりっぱな、理想的なうんちですね。みんなは、こんなにいいうんち、出ているかな。
うんちはなにでできているかは、前に学びましたね。あいなちゃんが食べたものとうんちとの関係について、考えてみましょう。
あいながけさ、バケツトイレでがんばった、自まんのまごわやさしいうんちだよ。きのう食べた朝ごはんと給食とおやつのうんちだよ。300グラムくらいあるかな。すっぱいヨーグルトのようなにおいで、ぜんぜんくさくないよ。ほっかほかしたうんちがもりもり出て、とっても気持ちよかったよ!
あいなちゃんがきのう食べたもの
朝ごはん |
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給食 |
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おやつ |
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ばんごはん |
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あいなちゃんのうんちの特ちょう
かたち |
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におい |
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かたさ |
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1日のうんちの回数 (うんちの量) |
2〜3回(朝に300gくらい、給食を食べたあとに200gくらい) 1日に500g以上はでる |
うんちのしかた | がまんせずに、うんちをしたくなったら、すぐにうんちをがんばるよ。 洋式でがんばることが多いけど、和式できばるのもすきだよ。 学校でも公園でも山の中でも、どこに行ってもうんちできるよ。 |