ふしぎなしかけであそびながら、身近なものごとのみかたや考え方がより深く、たのしいものになる科学あそびだよ。科学あそびでも、思いっきりおてんばほうだい、わんぱくほうだいだよ。
トランジスタを使った科学手品
トランジスタとは、わずかな電流の電気信号で、大きな電流を制御(せいぎょ)することができる、ふしぎな半導体素子(はんどうたいそし)だよ。
トランジスタには、おもにつぎのようなはたらきがあるよ。
- 一定以上の強さの電気信号が入力されたときにだけ、回路全体に電流を流すよ(電子的スイッチ)
- 電気信号の強さにおうじた強さの電流を回路全体に流すよ。電気信号に波があれば、その波をそのまま大きくするよ(増幅作用)
これらの性質を、他の部品の性質と組み合わせて使えば、ふしぎな科学手品であそべるよ。手品のようにふしぎでびっくりするけれど、実はちゃんと種もしかけもあるから、あそびながら種明かしをしてみるのもおもしろいよ。
バイポーラトランジスタのきほん
よくある三本足のトランジスタのことをバイポーラトランジスタというよ。それぞれの足の役目を知っておこう。- ベース
- エミッタ
- コレクタ
npn型トランジスタの場合は正(+)極、pnp型トランジスタの場合は負(−)極から電源をとって、信号電流を入力する電極だよ。信号電流(ベース電流)は、負荷を流れる電流のだいたい100分の1以下と、非常に小さいから、ベースの手前には、大きめの抵抗(ていこう)(1kΩ(キロオーム)以上)を入れよう。
電源をつなぐ電極だよ。npn型トランジスタは負(−)極、pnp型トランジスタは正(+)極をつなぐよ。「エミッタ」とは、「出す電極」という意味で、ベース電流とコレクタ電流をたした電流が流れるよ。
制御したい負荷をつなぐ電極だよ。電源の、エミッタをつないだ方と逆のほうの電極との間に負荷をつなぐと、ベース電流の強さにおうじて、コレクタに電流が流れるよ。
npn型トランジスタは、電子が多いn型半導体で、電子が少ないうすいp型半導体をはさんではりあわせたような構造をしているよ。pnp型トランジスタはその逆で、電子が少ないp型半導体で、電子が多いうすいn型半導体をはさんではりあわせたような構造をしているよ。それぞれ、うすい半導体のところがベースになるよ。
元気・なかよしチェッカー
2つのセンサーを人がつなぐと、コレクタにつながっている負荷が動作するよ。負荷には、LED・モーター・ブザーなど、いろいろ使えるよ。1人で両方にぎって動くのはもちろんだけど、2人以上で手をつないでも動作するからびっくりするよ。(最高記録は、約30人で手をつないでも、モーターが回ったよ。)
つくりかた(1石のふつうタイプ)
- npn型トランジスタ1個をブレッドボードにさします。
- トランジスタのベースと同じ列に、10kΩ以上の抵抗器をさし、もう一方のリードを、トランジスタの外側の列にさします。
- トランジスタのコレクタと同じ列に、負荷の-側をさし、負荷のもう一方のリードを、ブレッドボードの電源の+にさします。
- センサーの2本のリードのうち、一方を抵抗器のトランジスタの外側のリードがささった列に、もう一方を、ブレッドボードの電源の+にさします。
- トランジスタのエミッタの列を、ジャンパーケーブルで、ブレッドボードの電源の-とつなぎます。
- センサーの電極(ステンレスぼうやステンレスのスプーン)2本をセンサーの2本のリードにつなぎます。
- 電源(ニッケル水素電池3本;3.6V)の+をブレッドボードの電源の+に、-をブレッドボードの電源の-につなぎ、センサーの両方の電極を同時ににぎると、負荷が動作します。スプーンの場合は、口にくわえると、とくによく動作します。(このとき、アルミはくをかんだときのようなあじがします。)
つくりかた(超高感度のダーリントンタイプ)
トランジスタを2石、ダーリントンせつぞくした、超高感度タイプだよ。ベース電流は、コレクタ電流の数千〜数万分の1と、ほぼゼロに近い値になるんだよ。- npn型トランジスタ1こ(コレクタ電流を1.5A以上流せるもの)をブレッドボードにさします。ピンの配置がECBの場合、手前がうらになるようにさします。
- 1と同じトランジスタを、ブレッドボードのつぎの行に、手前が表になるようにさします。ピンの配置がECBの場合、1こ目のBと2こめのEとが、1こめのCと2こめのCとがつながるようにさします。2こめのBは、1こめのEより右側の列のあなにさします。
- 2で行ったようなトランジスタのつなぎかたを、ダーリントンせつぞくといいます。うち、左はしのBとEとがつながった列には、なにもつなぎません。CとCとがつながった列はコレクタ、1こめのEがささった列がエミッタ、2こめのベースがささった列がベースになります。したがって、ダーリントンせつぞくのトランジスタの電極は、左から、CEBとなります。(つなぎかたに気をつけよう。)
- あとは、1石の場合の2以降と同じ考え方でつないでいきます。
- ダーリントンタイプでスプーンをつかった実験をしてみると、1石のようなアルミはくをかんだようなあじもしません。なにも感じないのに、負荷がいきおいよく動くのがおどろきのポイントです。