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保護者・教育活動に携わる方へ

科学あそび

自然科学の真髄に触れる動機づけを

昭和の頃、科学あそびの定番といえば、アナログ電子回路を使ったあそびでした。巨大な真空管から、指先くらいの大きさの半導体素子になり、回路構成の自由度が飛躍的に向上したことは、大きな技術革新をもたらし、暮らしをゆたかにしてきました。しかし、科学教育で電子工作を行う機会は激減し、忘れられつつある危機的な状況にあります。大阪・日本橋でも、このような教材が手に入るお店が激減していることも、そのことを表しています。

自然科学教材としての電子工作の魅力、それは、小さくて取り扱いやすく、動作がまるで玩具のように特徴的で、子どもの関心を惹きやすいという点にあります。関心を惹きやすいということは、自然科学に関心を持つ入り口になりやすいということです。シンプルなあそびを繰り返していくうちに、それぞれの哲学的気づきがあり、想像力や科学的考察力を連動させて考えていくうちに、智が拡がっていく、そういった遊びが、笑い鮒の科学あそびです。

スイッチング・増幅特性を応用した科学あそび

電子部品といえばトランジスタ、といえるくらい、トランジスタには、動きのある、おもしろい性質があります。

トランジスタによるスイッチング

例えば、npnトランジスタの3本の電極のうち、ベースに正、エミッタに負の電圧をかけると、トランジスタ全体(コレクタからエミッタに貫通するよう)に電流が流れるようになります。逆極性のpnpトランジスタの場合は、極性の関係が全て逆となり、同様の作用を示します。その効果を示すために必要なベース電流は、全体を流れる電流の100分の1以下でよく、トランジスタを2石繰り返し接続したダーリントン接続の場合は、数万分の1くらいのほぼゼロに近いベース電流で、回路全体を制御(ON/OFFや流れる電流の強さの調整)することができるのです。ベース電流がゼロのときは、トランジスタ全体としては絶縁状態になっていますが、ベースからエミッタに電流を流すことで、その絶縁状態が解除されて導通状態となり、しかも、ベース電流の強さに比例する強さでありながら、ベースーエミッタ間よりもはるかに大きな電流を流すことができるために、このような不思議な現象が起こるのです。

コンデンサの充放電特性との組み合わせ

コンデンサは、互いに離れた2枚の電極として表現され、そのままでは電流は流れません。しかし、2枚の電極の間に電荷がたまるように、限定的に電流が流れ、また、逆に、コンデンサにたまった電荷を放出すべく、電流を流そうとする性質があります。このような性質を使えば、コンデンサに充電される間は電源がOFFで、満充電されるとONの状態を維持し続ける遅延スイッチや、小さい容量のコンデンサであれば、超高速でON/OFFを繰り返すことから、発振回路をつくることができます。これを利用したのが、「にぎにぎ・なめなめテルミン」です。

※人体を介するベース入力がある場合、何も感じない程度のごく弱い電流が流れます。電源電圧は4V程度でごく弱い電流のため、通常の場合、人体には影響はありませんが、ペースメーカーなどの埋め込み型医療機器を使用している人など、体組成計つき体重計の使用ができない人の場合は、念のため使用をお控えください。

その他のあそびとのつながり

木のこままわしは、慣性力や摩擦力を実感するあそびです。ハーモニカは、リードが短くなるほど高い音になり、(リコーダーは、指で押さえる穴が少ないほど高い音になり、)波の性質を感じることができます。このような、他の自然科学現象と比較し関連づけてみるのも楽しいものです。ぜひ、お子様と哲学的な気づきや思考をお楽しみください。

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